act.extra ――――――――――――――――――――――――― 夕暮れが闇に飲み込まれる帰り道。 絡めた指先が震えたのがわかったから、ふとした瞬間に離れないように、 しっかりとスノウの手を握り締めて足早に家路に着く。 玄関の扉が閉まった途端にホープはスノウの身体をぎゅっと抱きしめた。 何度確かめても、今すぐいなくなってしまうという恐怖に駆られてしまう。 だからその大きな身体に包まれる安心を感じたくて胸に顔を埋める。 「おいおい、さっきからくっつすぎだって」 からからと笑われ思わず頬を膨らませる。 こっちは真剣なのに、スノウは相変わらず何も考えていない能天気さだ。 まぁ、それが彼らしくていいのだけれど。 唇を尖らせて鋭い視線を向けると、スノウはハッとして目を瞬かせた。 「わ、悪い…」 怒らせてしまったと思ったのだろうか。 眉を寄せてどうしたらいいかわからない表情はまるで犬みたいだ。 見えないふさふさの耳をしゅんと垂らすかのように、申し訳なさそうに唇を噛み締める。 そんな顔をされてしまってはこっちまで困ってしまうではないか。 口元を緩めてふっと笑い、飛び付く様に背中に腕を回すと、反動でスノウの身体がぐっと屈む。 同じ高さの目線が無性にドキドキする。 そっと顔を近づけながら瞼を閉じると、直後に柔らかい感触が降りてきた。 「ん…っ…」 重ね合わせるだけの優しい口づけが触れては離れ、離れては触れる。 もっと、もっと。 わがままな想いがひたすら溢れ出す。 触れているだけで身体を支配する熱が収まると思っていた。 でも考えとは矛盾して、触れるたびに火照りが増してゆく。 この熱を解放するにはどうしたらいのだろう。 そんな事を頭の隅で考えながらも、今はただひたすら行為に耽っていたかった。 何度目かのキスが終わるとスノウがふっと上体を起こし、再び見上げる位置になる。 微かに濡れた唇が名残惜しかった。 と、スノウの口がゆっくり開く。 「夕飯…食うか?」 「え…」 予想外の言葉に拍子抜けた声を上げてしまった。 甘い雰囲気はどこへ行ったのと、せがんだ眼差しをスノウに向けると、 はにかみながら優しく頭を撫でてくれた。 恥ずかしいのか誤魔化しているのかわからないけど、 この時間がとてももどかしくて思わずスノウの腕を掴んでしまう。 そのままつかつかと歩き出すと、後ろの巨体は戸惑いながらもついてくる。 「…ホープ?」 これ以上焦らさないでほしい。 そう言わんばかりに迷わず寝室へと向かう。 寝室のドアを閉めると、僅かに乱れた二人の呼吸だけが響く。 カーテンは開いたままなのに、照明を付けないとほとんど何も見えないくらい、 夜はすぐそこまで訪れていた。 「ホープ…夕飯――」 「あとにして」 「…え…」 「もう、我慢できないんだ…」 「…ホープ」 熱くなった身体を冷ましてほしい。 違う。そうじゃない。 もっと熱くして欲しい。 あの日――スノウが一度だけ抱いてくれた時のように。 「スノウ…お願い…」 呼吸が整わないまま見つめて囁くと、返事の代わりに優しいキスをくれた。 床に放り出された二人の服はぐちゃぐちゃに重なっていた。 生まれたままの姿になった身体を支え、シングルベッドが時折軋む。 枕に腰掛けた状態でベッドの上に座るスノウの中心部分にホープが覆いかぶさっていた。 「は…ぁ…ふ…」 スタンドライトだけが仄かに灯る部屋の中、ぴちゃぴちゃと音を立てながら、 ホープはスノウの大きな陰茎に舌を這わせた。 触れるだけで質量が増し、びくりと震えて主張するそれを愛おしげに愛撫してゆく。 裏筋を舌でちろちろと舐め上げるとスノウの足が僅かに震え、頭上ではかすれた声が洩れる。 「…ぁ…ホープ…ッ…」 「ん、んぅ……ン…」 聞いた事のない快感に溺れる声に自然とホープの心が喜びで満たされる。 もっとスノウを満足させたい。それが、自分の幸福にも繋がるから。 先端部分を口に含みちゅっと吸い上げると、一際大きな声が耳をくすぐった。 「く…ぁ、…ぁっ…!」 「…んん、ぅ…」 「…ホープ…先っぽ…やめろって…ッ…」 咥えている所からじわりと液体がにじみ出てくる。 スノウの手のひらに頭を掴まれたものの、力が入っていない。 自覚があるのかないのか、かえって押し付けられるような形になってしまい、 スノウのものをより深くまで咥えてしまう。 「…あっ…!」 びくびくと大きな身体が震え、熱を持ち始めた陰茎も限界を訴えんばかりに膨らむ。 ずっと咥えたままの上、口の中がいっぱいに支配され、正直苦しさはあった。 だがスノウの声がその苦しさを緩和しているのか、ホープの奉仕は止まらなかった。 「…ん、ん、…ふ…っぅ…」 「ホープ…口、離せ…」 「…んっ…ッ…」 痺れを切らしたのはスノウで、頭を掴んでいた手が頬に移動する。 熱い塊から離れさせようとするものの、ホープはこのままでいいと首を振った。 一度だけ抱いてくれた時、スノウは全て飲み込んでいた。 自分が出来ないはずはないという自信が行為を後押しする。 だが、力を込められた手に無理に引き剥がされて口を解放されてしまう。 「…ぁ、あっ――」 その直後、限界を訴えた主張から白濁が勢いよく放出された。 口から抜け出していたとはいえ、間近にあったホープの頬や鼻に飛び散ってしまい、 精液はどろりと滴り落ちて肌を汚してゆく。 「…わ、悪いっ!」 生温い液体が垂れ落ちる感覚がわかった瞬間に、 スノウの指が顔に付着した精液を慌てて拭い始める。 頬を微かに紅潮させながらの慌てぶりに、ホープはくすくすと笑った。 「な、何笑ってんだよ」 「何でもない。ただ、スノウはスノウだなって思っただけ」 「…当たり前だろ、そんなこと」 真剣な返事に再び目を細めた。 当り前なことが嬉しくて安心する。 頬を拭う手が離れるとホープはゆっくりと身体を起こし、スノウの上に跨るように移動した。 首に腕を回して強請るように唇を寄せると、後頭部を支えながら口づけを落としてくれた。 「…は、っ……んぅ…」 どちらからともなく舌を伸ばし絡ませると、濡れた音が響く。 熱を帯びた吐息が交り、唾液が唇の端を伝い落ちてゆく。 それだけでひどく身体は煽られて、先ほど欲望を吐き終えたスノウの熱が硬さを取り戻す。 まだ一度も触れていないホープのものに重なる。 その小さな刺激だけで腰が勝手に揺れてしまい、刺激をもっと求めてしまう。 「は…ぁ…」 虚ろな瞳のまま唇を離すと、ホープは腕に回していた手をほどいてスノウの陰茎に指を這わせた。 精液と新しい先走りが混じり合った液体を掬い取り、己の後孔に指を埋め込む。 「ホープ…」 「…ぁっ…」 細く綺麗な指先を自らの孔に入れて掻き回す姿にスノウは喉を鳴らした。 くちゅくちゅと聞こえる卑猥な音は興奮剤の一つにすぎない。 いつの間にそんなことを覚えたんだと聞く前に、 瞼を閉じて顔を真っ赤に染めながらも、健気に解す姿にすっかりみとれてしまった。 「俺がいない間…そうやって一人でしてたのか?」 「ぁ…ん、…そんな、こと…」 首をふるふると振って否定したものの、今のスノウには通用しなかった。 「今…すっげぇ、興奮してんだけど」 「バカ…!」 自分の指を締め付ける感覚がわかって恥ずかしくなる。 もう我慢できなくなって指をずるりと引き抜き、目の前の大きな陰茎に触れた。 裏筋をひと撫でしただけで一気に天を向き始めるそれを、ホープは自らの後孔へと導く。 「ホープ…もう…いいのか」 「ん…挿れて…ッ…あ…ぁっ…あぁ…」 先端が入口を突いただけで腰に力が入らくなってしまう。 がくがく震える身体を何とか支えながらゆっくりと埋め込んでいく。 しかし、久々の感覚と予想以上の質量にホープは早々に眉をしかめた。 「…くっ…ン、…大きすぎ…」 「そんなの、仕方ねぇよ…興奮してるって言っただろ…ッ」 「…知らな…っぁ…」 激しく胸を上下させながらこれ以上無理だと訴えかける。 すると腰に手が回され身体を支えられた。 その安心感にふっと脱力してしまい、勢いのまま半分くらいまで飲み込んでしまう。 「あぁっ…! は、っ……ぁっ…ん」 ここまで来たのなら最後まで繋がりたい。 苦しさに瞳を潤ませながらもホープはスノウの胸に手をついて、 ゆっくりと腰を揺らし熱を孔に埋め込んでゆく。 「無理するな…」 「ん、…無理、してな…ッ」 言葉とは裏腹に頬を伝う涙が全てを示していた。 きらりと光る雫を太い親指が拭い取る。 「急がなくてもいいだろ。時間はあるんだし…ゆっくりすればいい…」 「スノ…」 「ほら…息吐け…」 諭すように耳元で囁かれ、言われるままに深呼吸を繰り返す。 「ん、ぅ……は…はぁ…」 「ったく…相変わらず強がりというか…そういうとこは変わってねぇのな…」 「スノウだって…心配性なのは変わってない…」 「だな…」 スノウの笑みにつられて笑ってしまい、その拍子に身体の力が抜ける。 すると重力に従うように再びぐっとホープの身体が沈んだ。 そのままスノウを一気に飲み込む形になって、衝撃の強さに背をのけぞらせて喘いだ。 「ああっ…ぁ…ンッ…!」 身体が倒れないよう背中に手を回して支えられる。 限界まで咥えこんだ箇所からはどくどくと熱が伝わってきた。 「…ぁ…スノ…の…熱い…」 「ホープの中も…すっげぇ熱くて、ッ…溶けちまいそ…」 名を呼ぶと身体を抱き寄せられたまま、首筋をちゅっと吸われる。 消えてしまった紅い華を再び蘇らせるように、白い肌に何度も唇を寄せる。 「ン、…っ…ぁ…」 下半身に感じる質量と首の甘い刺激に酔いしれていると、ふっと体が軽々と持ち上げられる。 中に埋め込まれていた熱が引きずり出される感覚に何事かと思った直後、 再びスノウのものが孔に突き入れられて中を擦った。 「あ、…ぁ、っん…」 限界まで膨らんだもので中を勢いよく擦られ、 快感のままに上下に揺れる身体に自分自身が翻弄されてしまう。 出入りする感覚がひどく心地よく、触れていないはずの陰茎が硬さを増して先端を滲ませている。 ひくりひくりと震え刺激を求めている事はわかっていても、 今はスノウと繋がっていることが嬉しくて、その感覚だけを味わっていたかった。 「…は、ぁっ…だめ…スノ…ん、…激し…」 「そんな顔しながら言うなよ…っ」 触れられなかった時間を埋めるように。 抱きあうだけじゃ足りない。 キスするだけじゃ足りない。 そんな想いを埋めるように二人の影が一つに溶け合ってゆく。 「あぁっ…も…だめ…出ちゃ…、ン…」 切願がこぼれ落ちると同時に、ホープの陰茎がスノウに擦られる。 限界の糸は簡単にぷつりと切れて呆気なく白濁がこぼれ落ちていった。 ホープが達したのを確認すると、スノウも中から引き出して精液を吐き出す。 互いのお腹が白く染まり、汗にまみれながら胸を上下させる。 でも――それでもまだ言えてない事があった。 ホープは力ない手をそっと伸ばしてスノウの頬に触れた。 触れるだけの軽い口づけのあと、震える声で告げる。 「スノウ…好きだよ」 「…ホープ」 もう何度も伝えたはずなのに、まるで初めての告白のように胸がドキドキしている。 わかりきっていることだけれど言葉に出して伝えたくて。 この想いがもっともっと届いてほしいと願っているから、 何度も胸を高鳴らせながら声に出す。 そんなホープの気持ちに応えるかのようにスノウも穏やかな笑みを浮かべてそっと囁く。 「俺も、好きだ」 声にして言葉にして触れて確かめ合って。 その幸福をいつまでも感じていたい。 そう互いの想いがシンクロするように、甘い甘い口づけが交わされる。 もう二度と、この幸せを離してしまわないよう。 ただひたすら彼を抱きしめて、愛しい温もりを感じていた。 fin... TOPへ 戻る